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デッサンの専門家の意見

顧客や代理店の立場から見れば、せっかく署名.捺印して郵送した申込書や請求書が、何日も経ってから「書類不備」の理由で送り返されてきて、書き込みや署名.捺印をやり直すという無駄を強いられることを意味する。 また、証券がなかなか送られてこずに不安になった、保険金がなかなか支払われずに不快な思いをさせられることを意味する。
こうした事務処理の遅れが、顧客満足を損なう大きな要因となることはいうまでもないだろう。 この事務処理プロセスの再構築に対して、Jエミニが提案したのはイメージワークフローシステムの導入だった。
より正確にいえば、オゾン以前にAリコ社内で導入が検討されていたワークフローシステムに、Jエミニがイメージという新機能を付加し、オゾンのプロジェクトに含まれることになったのである。 イメージワークフローとは、申込書や請求書をスキャナーで読み取り、パソコンに取り込んで画像データ化し、確認や承認をパソコンの画面上で行いながら、次の段階へと流していく自動処理システムのことである。
導入すれば、書類をいちいち手渡したり、帳簿を引っ張り出して元データと突き合わせて照合したりする必要はなくなり、ペーパーレス化が進む。 また、確認ミスも減少し、処理作業が記録に残るためミスの原因も突きとめやすくなる。
結果として、事務処理時間は大幅に短縮されることになる。 このイメージワークフローシステムは、なかなか現場の理解を得ることができなかった。
今でこそ家庭にも安価で品質のいいスキャナーが普及してきたが、1996年当時のスキャナーといえば、まだまだ高価で一般的ではなかった。 しかも、ワークフローシステムという考え方自体にも馴染みが薄く、ましてやJエミニが提案するイメージワークフローは業界でも初めて導入されるシステムだったのである。

「そんなこと、できるわけがない」「考え方はいいにしても、そんな初ものが機能しなかったらいったいどうするのだ」ここでも、反対の声はあちこちであがった。 オゾンのメンバー自体も、Jエミニの提案をすぐには鵜呑みにはできなかった。
たとえば、業務プロセス改革チームのリーダーを務めるI原は、かつて本社に集中しがちな事務処理をさらにI原ががっかりしたのは、Jエミニが「正解を出してくれなかった」ことだった。 「会社が高いお金を払っているのだから、社員としては素晴らしいアイディアを出してくれるものと期待する。
ところが、Jエミニは基本的な方向性を示すだけで、具体的な実現策についてはわれわれ自身が頭をひねっていくしかない。 イメージワークフローの考え方自体は素晴らしいと思ったが、社内を説得して、実際に導入するのはとても無理だと思うこみといえよう。
営業店に分散するためのシステム構築に取り組んだ経験があり、当時はやっと定着しかけたころだったのである。 Jエミニ提案のイメージワークフローシステムは、その分散システムとはまったく逆をいく本社集中システムで、感情的にも割り切れないものがあった。
また、抜きにしてみても、事務処理の流れを知り尽くしている立場からすると、Jエミニの考え方には納得できない点が多かった。 特に、従来の社員の役割を否定するようなシステムの導入には、心理的な抵抗が強かったのである。
さらに、I原ら社員が有する事務処理プロセスに関する知識とJエミニ側の知識には隔たりが大きく、彼らにコーチする時間をとらなければならない点にも苛立ちを感じた。 外部のコンサルタントの力を借りざるを得ないクライアントと、内部に入り込んで一定の学ぶ時間をもたざるを得ないコンサルタントが合同チームをつくるうえで、常につきまとう悩1996年1月以来、Aリコ側のプロジェクトリーダーを務めていたのはシステム本部本部長のM山裕だった。
M山は、ワークフローとカスタマーサービスセンターの2つのシステム開発チームのリーダーも兼ね、システム開発担当者としてN田哲夫課長とY岡則浩をオゾンに送り込んでいた。 M山は、Jエミニのさまざまな提案、とりわけIAD(反復的アプリケーション開発手法)と呼ばれる手法に新鮮味を感じていた。
IADとは、開発エンジニアと使う社員ユーザーの代表者が、直接対話しながらシステム開発に取り組む手法である。 具体的には、エンジニアがユーザー代表の意見を聞きながら目の前の端末画面にプロトタイプ(試作システム)を打ち出し、ユーザー代表は実際に試して使い勝手をチェックが何度もあった」これこそ、主役は社員というJエミニのリエンジ手法の実践だったわけだが、渦中にあった社員にとっては、どうもまだるっこしく映ったようだ。
かくして、事務処理プロセス再構築の目玉となったイメージワークフローシステムは、時代を先取りしていた分、苦難の船出を切ることになった。 その結果をエンジニアに伝え、エンジニアはその場でプロトタイプを改良していく。

繰り返して早いピッチで開発を進め、最長でも3か月というサイクルで新システムをパイロット(試験導入)する。 ユーザー全員に成果を試してもらい、その結果をもとに次の開発段階に進んでいく。
従来の1年間が7年間に相当するドッグイャー(人間の1年間が犬の一生では7年間に相当することからこういわれている)における情報通信技術の急速な進化に対応するための手法で、小刻みに開発を進めていくことで軌道修正や最新技術の取り入れが可能となる。 また、短期間でユーザーが新システムの成果を試せるため、社員の巻き込みにも役立つのである。
半年から1年間の開発期間を設定し、一気にシステムを入れ替える伝統的なマネジメントになじんできたM山にとって、IADはまさに眼から鱗が落ちる思いだったという。 もちろん、社内からは耳慣れない開発手法に反対する声もあがったが、M山はこの斬新な手法に乗ることを決めた。
「単なるシステム改善じゃない、会社全体の根本的な改革だ」というT園の言葉に、強烈なインパクトを感じていたからでもあった。 都合のいいことに、プロジェクトメンバーのF井とI原は以前米国にワークフローシステムの視察に出かけた経験があった。
つまり、新システムを使うユーザー側はワークフローシステムに関する基礎知識をもっているのだ。 イメージワークフローシステムの開発を任されることになったY岡は、すでにワークフローシステムの基本知識を身につけていた。
なぜなら、かつてI原らと組んで業務プロセスの改善に取り組んだことがあったからだ。 だが、Jエミニが提案してきた業界初のイメージワークフローは、まったく未知の領域だった。
証券番号を認識するバーコードや書類を画像データに変えるスキャナーに関する専門知識も少なく、もちろんイメージワークフローのパッケージソフトなど使った経験がなかった。 そこで、キャップ.Jエミニからやってきた外国人エンジニアからアドバイスを受けつつ、システムの基礎から検証を進めていった。
プロジェクト初期からオゾンをサポートしてきた課長のN田のアドバイスもあったが、N田は当時カスタマーサービスセンターのシステム構築に忙殺されており、Y岡は自ら学び考えていくしかなかった。 こうした苦労の末に、ようやくイメージワークフローシステムのパッケージソフトを選ぶ段階にたどりつくことができた。


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